2019年03月24日
自分の死後、自然界へ還りたいとする死生観の増加
近年、自分の死後に対する死生観の大きな変化が現れてきました。長寿命化が進んで現役引退後の老後生活が長くなり、寿命を全うするまで静かに暮らす期間が長引いている間に考えが及ぶといわれています。しかも昨今は、少子化や核家族化の上に付き合いの希薄化が加わって、近親者と言っても縁遠い関係が少なくありません。
様々な事情があり、子なし夫婦や生涯独身者も増えました。存命中、社会や日常生活で様々なしがらみの中で希望通り生き抜いてこられなかった無念さを振り払いたい気持ちが現れるようです。特に、都会へ出てもみくちゃになる生活を送っていると何代も続いてきた家系を維持していくことが難しくなってきたわけです。
従来のように葬儀後、先祖からの墓地に遺骨をそのまま葬られるのを是とせずに、大自然の中へ還りたいとの意識が強まるようです。海や山へ遺骨を還してもらってあの世では自由に動き回ったり、好きな花や木に囲まれていたいという新しい死生観でしょう。また、自然葬の考え方には自分の死後、墓石や墓標、或いは骨壺等の人工物を作って自然環境を壊したくないと考える人も増えているようです。そこで、このような要望を受けて各地の墓地や寺院では新たな方法として樹木葬の可能な所が徐々に増えてきました。また、墓石や墓標も作らずに海へ散骨を希望する人も増えているようですが、遺灰を海洋へ投棄するには法律上の制約があるのでそれほど広まっていないようです。
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